ホエイプロテインとは?メリットとデメリットを解説
「 プロテインを飲んでいるのに筋肉がつかない」「プロテインを飲んだら痩せると聞いたのに痩せない」などプロテインを飲むことでメリットを期待していたのに、あまり実感が得られていないことありませんか?
物事にはメリットとデメリット両方の側面があり、その恩恵を受けるには確かな方法が必要になります。
このコラムでは、プロテインの中でもメジャーな「ホエイプロテイン」について解説し、メリットをできるだけ受け取り、デメリットをできるだけ避けられるように確かな情報をまとめていきます。
ホエイプロテインとは?
ホエイプロテインは乳清を原料としたサプリメントです。乳清はいわゆる「ヨーグルトの上澄み液」にあたり、乳から脂肪分や固形物、カゼインを除いたものを指します。
乳清にはホエイタンパクという乳たんぱく質の一種が溶けだしています。それらを抽出し、精製したものがホエイプロテインなのです。
ホエイプロテインの特徴
ホエイの栄養はおおよそ70%が乳糖、10%が塩分、15%がタンパク質、5%が脂質で構成されています。このうちのタンパク質を中心に精製したホエイプロテインには少しの乳糖と、脂質が含まれており、その比率は商品ごとに異なります。
ホエイプロテインは胃にとどまらずに小腸で素早く吸収されるため、タンパク質を効率よく補うことが可能です。
また製法によってWPC【=Whey Protein Concentrate(濃縮乳清たんぱく質)】、WPI【=Whey Protein Isolate(分離乳清たんぱく質)】、WPH【=Whey Protein Hydrolysate(加水分解乳清たんぱく質)】という種類があります。
タンパク質は体内でアミノ酸という最小単位まで分解されます。ホエイプロテインは人体の構成要素に欠かせない必須アミノ酸9種類と、非必須アミノ酸11種類の合計20種類をすべて含む商品がほとんどのため、摂取した栄養を体内で余すことなく活用できる点も大きな特徴です。
ホエイプロテインがおすすめな人
かつてプロテインは限られたごく一部の方へ向けたサプリメントで、筋肉増強剤のように捉えられていたこともありました。
しかし実際には、プロテインは粉末やドリンクや固形に加工された「タンパク質」ですので、肉や魚、卵、大豆などと同じようにタンパク質が多く含まれた食品なのです。
ホエイプロテインはスポーツに取り組む方から、運動しない女性や高齢者まで幅広い世代の方に取り入れていただけるものです。対象者別にご紹介しましょう。
スポーツに取り組む方
ホエイプロテインは素早く吸収されるので、トレーニング前後のスムーズな栄養補給に用いるのがおススメです。
また、1日を通してたくさんのタンパク質が必要になるトレーニング実践者は、間食や夜食としてプロテインを飲むことで胃腸への負担を分散しながら、適切に栄養を摂取できます。
目標とする身体づくりをサポートするサプリメントとして活用しましょう。
女性
髪の毛や爪、肌のもとになるのは「タンパク質」です。しかし現代の食事ではタンパク質が不足しがち。また基礎化粧品にお金をかけているのに肌の調子が思わしくなかったり、パサついた髪の毛をヘアケアしてもなんだかいまひとつ。
そういった方には内側からの栄養補給が必要かもしれません。ビタミン剤を飲んでいたとしても、ビタミンはあくまで「補酵素」です。補酵素であるビタミンは、組織のもとになるタンパク質が十分に摂れていることが重要です。
さまざまなサプリメントや化粧品を使っているのに、納得がいかないという方はタンパク質の摂取量を見直してみるのもひとつでしょう。
高齢者
サルコペニアやフレイルという言葉を聞いたことはありますか?
サルコペニアとは「加齢に伴い筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態」。フレイルとは「加齢に伴い身体の予備能力が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態」をいいます。
とくに高齢者の身体機能障害や転倒のリスクになるとされています。筋肉量が減ることで、代謝や機能が低下すると身体は虚弱状態になり、生活の質が著しく低下。
丈夫な身体を維持するためにも、65歳以上の方は体重比1.0gのタンパク質を摂ることが推奨されています[1]。
ホエイプロテインのメリット
手軽にタンパク質を補える
トレーニングをして身体づくりをしている方や、ボディメイクのためにシェイプアップしている方には、タンパク質の補給は必須ですよね。
しかしタンパク質をすべて食事からまかなおうとすると、胃腸への負担も大きく、食の細い方やトレーニング直後で疲労困憊のときには固形物を摂ることは大変なこともあるでしょう。
その点ホエイプロテインは、トレーニング後に手軽にタンパク質を摂取することができ、身体づくりのサポートをするメリットが期待できます。
消化吸収が早く、胃腸にやさしい
胃腸があまり強くない方にとって、脂質の多い動物性タンパク質の消化吸収はかなりの負担になります。また部活やトレーニングを頑張る方の補給食として考えると、間食として取る際には次の食事までに消化吸収を終えているほうがよいですよね。
その点、ホエイプロテインは消化吸収が速く、消化器系への負担も少ないため、身体にかかるストレスの少ない栄養補給が可能になります。
これは長期戦になる身体づくりにおいて、大きなメリットといえるのではないでしょうか。
肥満の原因になりやすい脂質・糖質を控えられる
ダイエットに励んでいる方や、ボディメイクのコンテストに出るようなトレーニー、格闘技やボクシングなど体重制限のあるスポーツに取り組む方は、余分なカロリー摂取に細心の注意を払っていることと思います。
各プロテインにより多少の差こそあれど、タンパク質を中心にごく少量の糖質と脂質で構成されています。
ダイエットや減量の際には、十分なタンパク質の摂取と余剰のカロリー制限が必須です。うまくプロテインを活用すれば、その両方において求めるバランスに近づけやすくなるでしょう。
持ち運びが便利
プロテイン専用のシェイカーや、蓋つきの保存容器に入れておけばいつでもどこでもプロテインを摂取可能です。
コンビニやスーパーに行く必要もなく、調理の手間や電子レンジすらいらないので、ライフスタイルに合わせて自分の好きな時間にタンパク質をサクッと補える理想的な食品なのです。
ホエイプロテインのデメリット
お腹がゴロゴロする・お腹を下すことがある
ホエイの原料は乳清であることをご紹介しました。乳清の中には「乳糖」という糖質が含まれています。
プロテインを飲むとお腹を下したり、不快感のある方は、乳糖を消化するための酵素(ラクターゼ)が不足している可能性があります。古代の食文化が影響して、日本人には多く見られるといわれています。
ホエイプロテインを飲んだ際にお腹がゴロゴロしてしまう場合は、製造段階で乳糖をできる限り取り除いた「WPI」のホエイプロテインをお試しください。
摂りすぎは太る
プロテインは本来、タンパク質が豊富で糖質、脂質ともに少ない食品です。そのため含まれる栄養価に対しての摂取カロリーは非常に低いといえます。
しかし食事で十分にカロリーを摂取しているにもかかわらず、健康によさそうだからというぼんやりとした理由だけで、プロテインをプラスしているとすれば、少し考えたほうがよさそうです。
どんな食品であれ、消費したカロリーよりも摂取したカロリーのほうが多くなっていれば太ってしまいます。
プロテインを飲んだから太ったと結論づける前に、3食のバランスはどうだったか、お菓子やアルコール、清涼飲料水を飲みすぎていないかを十分に確認しておきましょう。
まとめ
ホエイプロテインは需要の高まりとともに、大手通販サイトやスーパー、ドラッグストアなど、手に入れやすくなってきました。
日常生活の買い物でついついお菓子を買ってしまったり、ジュースを買ってしまうこともあるかと思います。最近のプロテインはフレーバーも豊富で飲みやすい商品が充実しています。まだ手に取ったことがないという方は、自分の好みに合わせて、ジュースやおやつ代わりに飲んでみるとよいでしょう。
どんなことも、はじめてみないことにはそのメリットとデメリットはわかりませんからね。まずは「やってみなはれ」です。
参考文献
1. 厚生労働省. 食事摂取基準(2020年版)